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Daisuke Bundo

Daisuke Bundo

分藤大翼
アフリカの熱帯雨林でBaka族の調査研究と記録映画の制作をおこなっています。
長野県松本市在住。

 

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学校を建てた理由

「私が、ピグミーの森に学校を建てた理由。」
『ソトコト』2010年3月号: 38-41頁に掲載)


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(1999年、当時運営されていた学校の授業風景。)


壁塗り

ほがらかな歌声が笑い声や叫び声になって、いたるところではじけていた。
水でねった土塊が宙を舞い、そこらじゅうに泥が飛び散っていた。女たちの足元があやしいのは、地面がぬかるんでいるせいではなかった。皆すっかり酔っぱらっていた。雨上がりの少し冷えた日に、壁塗りは決行された。学校建設のクライマックスとなった、この作業には集落のほとんどの女性が参加した。


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バカ(Baka)という人たち

僕が学校の建設に立ち会ったのはアフリカの森の中。カメルーン共和国の東南部に位置する熱帯雨林でのことだった。カメルーンといえば、サッカーのワールドカップで日本代表と対戦する、あの国である。世界中のスタジアムで活躍するサッカー選手を輩出している国には、ジャングルで狩猟採集生活をしている人たちもいる。彼らはバカ(Baka)という民族で、小柄なことから「ピグミー(小さい人)」とも呼ばれる人たちだ。


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出会い

僕がそんなところに行くことになったのは、ほぼ偶然だった。学生のころに環境問題に関心を持ち、自然と人との関わりについて学びたくて大学院に進学した。その時、受け入れてくれた大学院が、アフリカの研究を専門とする大学院だった。こうして、入学した年の秋には、僕はアフリカの森の中にいた。


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それから

それから13年の月日が流れた。その間、僕と集落の人々との関係は微妙に揺れ動いてきた。とくにここ数年は、10年以上も前から日本人が来ているのに、集落には学校や病院の一つも建っていないと言われるようになっていた。これは僕を受け入れてくれている集落の人々というよりは、周辺の他の民族の人々が口にする言葉だった。それでも、「集落の人々のために何もしていない」と言われることは、とても辛いことだった。


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転機

昨年の7月、9回目の渡航を前に、僕は大学に職を得ることになった。それまでにお世話になったたくさんの人たちのなかでも、集落の人々に対する感謝の気持ちは格別に強かった。恩返しをしたいと思い、何をすればよいのか考える日々が始まった。付き合いが長く、人々の性分や習慣が分かっているために、かえって決めるのが難しかった。

病院は医師の手配や医薬品の取り扱いなど、手に負えないことがあまりに多い。それに対して学校は、2004年までキリスト教系の団体が運営する学校があったため馴染みがあり、僕たちの手でなんとかできるかもしれないと思った。学校建設を仕事にして賃金を払うようにすれば、多くの人にお金がゆきわたるし、多くの人が望む学校が建つ。これはいいのではないかと思い、なけなしの貯金をおろして持って行くことにした。


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学校は必要なのか?

集落にたどりつき人々と暮らし始めると迷いが生じた。本当に学校は必要なのだろうか?彼らを見ていると、生きていることが過不足のない学びの過程になっている。狩猟採集をはじめ、森で生きる術はみな自然に身につけている。それに対して、学校教育は彼らの文化にそぐわない面をいくつも持っている。誰かの話を一方的に聞かされるということ。みんなで同じことをさせられるということ。そのなかで優劣を競うようなこと。彼らには各々が思い思いに振る舞いながら、ゆるやかなまとまりをもって生きてきた長い歴史がある。むしろ学校教育がないことによって、彼らの社会は維持されてきたように思えるのである。

ただ、この認識を越える事態が進行していることも分かっていた。森林の伐採、鉱物資源の採掘、狩猟活動の規制など、バカの人々は外から押し寄せる力に対処しなければならなくなっているのである。85キロほど離れた町の周辺では、バカの人々が連帯し協同組織をつくって自分たちの権利を守る活動を行っている。組織の代表に話を聞いたところ、他の集落も話し合いに参加できる人がいれば、組織に加わることができるとのことだった。そのような話し合いに参加できそうな人は、僕の集落にも何人かいる。そして、それらの人々は、みな教育を受けた経験をもっている。これらのことを踏まえると、将来のことを考えれば、学校教育は必要だといわざるを得ない・・・。

思い切って集落の人々に学校建設の是非を相談してみた。すると、はっきりと「必要だ」という答えが返ってきた。そういうことなら、やってみようと思った。


建設の過程

2009年8月20日、建設場所が決まると40人近い女たちが生い茂った草木を刈り払い、男たちは建材を求めて森に入った。校舎を建てるといっても、彼らが普段住んでいる家の大きなものを作るということで、必要な物資は全て周辺の森から調達することになった。


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作業は朝から昼過ぎまで毎日行われた。この間、作業について、また作業の分担について議論したり、教材や文房具の買い出しをお願いしたり、酒やたばこをねだられたりと、うんざりするほど慌ただしかった。学校を建てているのは僕のためなのか、彼らのためなのかよく分からなくなることもあった。


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(このボードを使って公用語のフランス語と算数を習得する。彼らの社会には、もともと文字も数字もない。)


そして8月25日、55人の女性が壁を塗り、30人の男性が屋根を葺いて学校は建ち上がった。やれば6日でできてしまった。


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校舎が建ち、日々の支払いを終えてみると、もういくらも残金がないことに気が付いた。教師に払うお金を確保すると、机と椅子に出すお金はなかった。そのことを告げると、男たちは「なんとかしよう」と沈んだ調子で言った。数日後、数人のおじさんたちが机と椅子を設置した。木を切り倒し、叩き割った板で作られた机と椅子は、デコボコでゆがんでいて決して使いやすくはなさそうだった。けれども、彼らが子どもたちのために無償で手がけた机と椅子は、彼らの学校にとてもふさわしく、人気のない校舎で僕はあっちの椅子こっちの机と何度も感触を確かめた。


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それから

僕が集落を去る9月3日になっても、彼らが呼び寄せるといっていた教師は来なかった。僕は教師のお金を託して集落を後にすることになった。子供たちが学ぶ姿を見ることはできなかったが、それは彼らが見てくれればよいという気になっていた。

帰国後しばらくして携帯電話に連絡が入った。集落の事情に通じている人からの国際電話だった。「学校は始まっている」。駅の騒音のなか、その言葉は聞き取れた。その後は連絡が途絶えてしまっている。

ともあれ、学校は始まった。小さく粗末なものだけれど、僕たちの身の丈にあった学校ができたことを素直に嬉しく思っている。立派でないことは実に気楽で僕たちらしい。学校を建てる過程で僕が経験したことは、自分と彼らが分かちがたい関係になってゆくなかで、何かを分かちあうこと。その何かは信頼や希望といっていいかもしれない。それがあればうまくいくというものではないけれど、それがあればやり直せるのではないかと思う。ダメだったらやり直す。彼らのしなやかでたくましい生き方を信じて、僕はこれからも彼らとともに試行錯誤を重ねてゆきたいと思っている。




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